ゲームの作り方講座@ - 2016年01月26日

 奇ゲー作家みたいな不当な取り扱いに未だ遺憾の意を表明する事くらいしか僕には道が残されていないので,とりあえず僕のゲーム製作の方法論-ノウハウ-の共有-シェアー-によって,僕の創作が突飛で奇抜な手法によって行われているのではなく,綿密な取材と知識の累積の元に作られているという事をアピールしたいと思いました。

 ちょっと長くなったので,続きは以下のリンクから。



 今回の題材はこちらにしようと思います。

 メーテルリンクの青い鳥です。出来が正直気に入っていないのでこの作品に触れるのは嫌だなぁって道徳の授業で皆さん習ったと思うのですが,今回は触れます。


 本作に頻繁に出てくるアイテムの一つとして,「チーズかまぼこ」というものがあります。


 これは元ネタとなった「グリザイアの果実」でもセンテンスの1つとして出て来ます。まず基本的に本作に出てくる固有名詞は,グリザイアシリーズ(果実/迷宮/楽園)から拾ったものしかありません。が,まあ,それは些事です(ほとんどの二次創作をする人は,センテンスを原作から拾い上げると思います)。


 本題はここからです。僕は図鑑を作るのが好きで,本作にもアイテムや敵を解説するくそどうでもいい図鑑が存在します。よくあることないこと書いています。これは対外的な意図もあるのですが,後で見返した時に「ふんふん当時の僕はこういう風にハマってたんだな……」というのを思い返すことが出来てアルバムみたいで楽しくないですか? 
 で,皆さん「チーズかまぼこ」って何で魚肉ソーセージの形をしているのに「かまぼこ」と言うのか気になりませんか? 僕は物凄く気になりました。僕がこんなに気になっているという事は世間の皆さんもきっと気になるに違いないと思って調べる事にしました。僕が皆さんの代わりに調べて教えてあげる事で皆さんがお得な気持ちになれるのではないかなと思いました。
 こういうものを作る場合,一目見て嘘,フィクション,創作とわかるものについては一切適当に書くのですが,あいまいな内容については可能な限り正確な記述になるように心がけていますので,まずはwikipediaを見ました(ここはジョークです)。 

魚肉ソーセージ - wikipedia
 このエントリを書いた時点の版を見る限りだと,以下のような記述があります(メーテルリンク制作時から特に変更されていないようです)
 - 練った魚肉に種物を加えて魚肉ソーセージと同様に包装したものは魚肉ソーセージではなく、特殊包装かまぼこ類の一種であるケーシング詰特種かまぼこに分類される[5]。チーズかまぼこなどが該当する。 -
特殊包装かまぼこ類品質表示基準(PDF)
 - 特殊包装かまぼこ類のうち、練りつぶし魚肉を主原料とし、これに種ものを加えてフィルムで包装した後、型枠に入れて加熱したものをいう。 -
 なるほどなるほど! 品質表示基準によって「ケーシング詰特種かまぼこ」というものに分類されているそうです。さらに古い記事ですが,以下のようなものも見つかりました。
R-25 - 「魚肉ソーセージ」と「かまぼこ」この違い、説明できる?
 これによると,
 - チーズかまぼこは ケーシング詰め特殊かまぼこ という分類で、脂肪含有率2%未満、魚肉以外の材料を加えたもの -
 という説明になっています。ん〜? わかりそうでわかりにくい……つまり,魚肉に食塩などの増粘剤や種物(チーズ等,具の事です)などを加えソーセージに成型して加熱した「特種包装かまぼこ」という分類があり,その中にある1分類がチーズかまぼこが類するケーシング詰特種かまぼこであるということですね。コンビニに出かけて適当なチーズかまぼこを物色した所「ケーシング詰かまぼこ」と品名に書いてありました(2014年当時)。なるほど! ここまでは何とか僕の頭でもわかりそうですね。

 しかし調べているうちに以下のような記述が出てきて,状況は振り出しに戻ります。
農林水産省 - 品質表示基準の見直しについて「特殊包装かまぼこ類」(PDF)
消費者庁 - 食品表示について
 なんと「特殊包装かまぼこ類品質表示基準」は平成21年9月30日,つまり「メーテルリンク」制作の5年も前に廃止されていた事になります。えっじゃあ僕がコンビニで見た「ケーシング詰かまぼこ」の記述は一体何だったの……? 5年前の幻……? 2009年に見た夢の続き……?

 暗雲立ち込めつつも調べるのは続行して,以下のPDFを閲覧しました。
魚肉ハム及び魚肉ソーセージ品質表示基準(PDF)
 ところで,ここまで説明していなかったのですが,生鮮食品は日本農林規格(JAS)の定める品質表示基準制度にのっとる様々な表記がしてあり,中でもなじみ深いものが「名称」「原材料」「内容量」「賞味期限/消費期限」ではないかと存じます。これらにはルールが存在しており,たとえば「原材料」は内容量に占める割合が多いものから順に書かれている,複合原材料は一部表示が免除される,対面販売なら原材料は書かなくていいなどのルールがあり,皆さんなんとなくどこかで聞いたことがあるんじゃないかと思います。
 「名称」についても,JASによって定められた基準を満たす物がその名称を使う事が許されており,「果汁100%のフルーツ飲料のみ『ジュース』という名称を使える」とか「乳固形分・乳脂肪分の比重の違いでアイスクリーム・ラクトアイス・アイスミルクという名称の差が出る」辺りは有名なんじゃないかなと思います。
 さて,そういう説明を終えつつ,この表示規格によると,魚肉ソーセージを名乗るのには原材料に使って良い魚肉の種類や比重がきっちり定められてあります。なるほど〜これならわかる! つまりチーズかまぼこは魚肉をケチっている等の理由で「魚肉ソーセージ」ではないわけですね。ではそれを定めている「かまぼこ」の規格を見てみましょう! と思ったものの,しかし不思議なことにここには「かまぼこ」の規格が存在しません。それどころかJASのどこを見ても「かまぼこ」を定める表示規格がどこにも存在しないのです。

 ここでひとつの憶測として,「規格として定められていないので旧来の基準で名称を定めている」と言う辺りにおそらく着地出来そうなのですが自信がありません。あまりJASや食品衛生法に詳しくないのがまた足を引っ張っています。詳しくないジャンルについて理解しようとすると普通の人より膨大な時間がかかるのは仕方のない事です。これは誰だってそうだし,絵や音や文章だってそのために他人にやって貰うわけです。

 ですので,ここで必殺の「困った時は詳しい人に聞く」を行おうと思います。余談ですが僕はゲームを遊んでいて困った時,wikiや攻略サイトを頼るよりもまずメーカーに問い合わせのメールを送ります。その結果「バグです」「仕様です」「こうすれば解けます」などの答えが返ってくれば状況が確定するのでとても助かります。内輪で解決するよりもさっさと開発に尋ねてしまえばよいのです(これは「サポートする事で金銭を貰っている」窓口職の存在するメーカー規模のケースです。個人や小規模グループにおいては状況が異なる場合があります)。
 普段ゲームの問い合わせは良く送るけど食品メーカーに質問送るのは初めてですね。でも失礼が無いように,今わかっている事,わからない事を文面にまとめて,1社では不安だったので,情報の中央値を取るために3社に送りました。メーテルリンクの開発は2014年末だったので,年末の忙しい時期に意味不明なメール対応をさせられた気の毒な3社が以下に挙げるものになります。

マルハニチロ
丸善
東洋水産

 メール文面は以下のようなものを送りました。
 商品に記されている名称「魚肉ソーセージ」と「かまぼこ」の違いについて伺います。
「魚肉ソーセージ」という名称については,加工食品品質表示基準や魚肉ハム及び魚肉ソーセージ品質表示基準にて「魚肉の含有量が50%以上」など複数の条件の元定義されているようなのですが,「かまぼこ」という名称についての定義が見つかりませんでした。「かまぼこ」とは魚肉を使った練り物全般を指す名称であり,JASなど名称に関する一定の規格は存在しないという事なのでしょうか。
気になって仕方が無いので,お答え頂けるととても嬉しいです。


 まず東洋水産さんからメールを送った日のうちに,続いて翌日にマルハニチロさんと丸善さんからご返答を頂けました。お忙しい中重ね重ねありがとうございました。

 3社とも共通したご返答が,「JASなどで現在『かまぼこ』は制定されておらず,ご質問の通り『かまぼこ』は魚肉を使った練り物全般を指す名称である,また廃止された『特殊包装かまぼこ類品質表示基準』を名称表示の根拠にしている場合もある」というものでした。これで僕の疑問「かまぼこ」が何か,については完全に氷解した事となります。つまり「ケーシング詰かまぼこ」は「魚肉ソーセージ」ではないし別に「かまぼこ」の名称を使わなくても良いけど,一般的に通じる名称として「かまぼこ」を使っているという面もあるって事ですね。よかったよかった。

 さらに,東洋水産さんからの返答には「東京都消費生活条例に基づく食品の品質表示」にかまぼこ類を定義している物があるので参考にして欲しい旨が,
 丸善さんからの返答には上記「個別の加工食品に係る品質表示基準」の詳細な解説(廃止済みの特殊かまぼこの解説も頂けました),および「整形・密封した上で加熱する魚肉ソーセージなどは容量が変化しないため『グラム』で内容量を表記する事が定められているが,焼き縮み等で重量にばらつきが発生する笹かま・竹輪は『個数』で表記しても良い」という豆知識までいただけました(さらに賢さが加速した)。


 以上のような経緯によって書かれたのが赤丸で囲った部分です。こういう地道な積み重ねによってゲームは作られていくわけですね。皆さんもぜひ参考にしてくださいね。
この記事へのコメント
自分もチーズかまぼこが何故チーズかまぼこと名乗っているのかをちょっと気になっていたので、
この講座が非常に役に立ちました!
Posted by at 2016年01月29日


これチーズかまぼこの作り方講座やん
Posted by at 2016年01月30日


あれ!? 新着コメントが来てるのに全く気づかなかった!(メーラーの設定を見直しました。申し訳ないです)

>自分もチーズかまぼこが何故チーズかまぼこと名乗っているのかをちょっと気になっていたので、
>この講座が非常に役に立ちました!
お役に立てて幸いです
自分の講座を参考にゲームを作る人が増えると嬉しいなって思います

>これチーズかまぼこの作り方講座やん
チーズかまぼこも作れないと思いますけど!?
Posted by モスー at 2016年02月05日


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